多種多様な業界の新規開拓を通じて見えてきたこと
―これまでインプレックスアンドカンパニーでどれくらいの数の新規開拓案件を行ってきたのですか。
小さいものも含めると、100件以上は携わってきました。私が入社した頃は、営業支援事業の立ち上げ時期でもあったので、弊社にご相談いただいた案件は可能な限りチャレンジしていましたね。
当時は、自分でも完全に理解できていないようなサービスの営業代行も数多くやっていました。営業代行の商材としてIT系が多かったので、当時でいうASPサービス、今でいうところのサブスクリプション型の勤怠管理システムなどを扱っていました。
他にも、「アルカリ○○水」といったもので、それを吹きかけると匂いが取れるという商材を扱ったこともありますし、スポーツジムの会員様にマットレスの営業をしたこともあります。また、身体の不自由な方が利用する足こぎ車椅子を医療機関や介護施設に営業したこともあります。とはいえ総体的に見ると、BtoCビジネスよりもBtoBビジネスのお客様が多いですね。
現在は主にSaaSと言われるサービスや、サブスクリプションのビジネスモデルで展開されているサービスのご支援しています。
企業や事業の規模感もさまざまで、大手企業からスタートアップ、有名な既存サービスから新規事業のサービスなど、幅広いです。
―商材が違えば、営業や新規開拓の手法も変わってくるとは思うのですが、そこに共通のセオリーのようなものはあるのでしょうか。
当社には「営業の原理原則」という、正しい営業プロセスの進め方に関する基本的な考え方があるので、それに則って営業をすれば、どのような業界や商材であっても手法は変わりません。
違いがあるとすれば、業界、クライアントの事業やサービスの特色など各々の情報をしっかりインプットする必要があることくらいでしょうか。「営業の原理原則」には、5つのステップがあって、その一段階目は、いわゆる「事前準備」というステップです。その中には当然、私たちが扱う商材やその企業のこと、商品、マーケット、競合、営業先のお客様のことをしっかりと理解するという行為が含まれます。一般的にいう「3C分析」のプロセスをしっかり踏むことですね。
―苦手な業界や理解できない商材などはないのですか。
もちろん業界によって難易度は違います。例えばITサービスでも、不動産業界や建設業界、医療業界などは、自分たちの日常生活とかけ離れている世界、かつ歴史もあるのでインプットは大変ですね。しかし私たちは、最低限押さえなければならない部分をしっかりとインプットしてから営業に臨みます。要するに営業にとって必要最低限の情報を押さえるコツを知っているということです。
―100件以上もの新規開拓をされてきたとお聞きましたが、そのすべてにおいて期待に応えてこれたということでしょうか。
百戦錬磨では決してありません。どちらかというと、うまくいかないことの方が多いですね。成果が出るか出ないかは、やってみなければわからない部分です。なので必ずしも「私たちがやれば何でも売れる」「私たちがやれば何でも良くなる」という安請け合いはしません。
しかし「やってみるといろいろなことが見えてくる」というのは、間違いなく言えることです。もちろん、より多くの相手に営業をかけるという量は重要な要素ではありますが、私たちは決して闇雲に営業はしません。どういったターゲットに対してどのように営業をしていくのか、かなり緻密に戦略を立てて実行していきます。例えば、アプローチをひとつ変えるだけでお客様の反応や成果が変わってきますよね。そういうことを一つひとつ検証しながら改善を加えていき、失敗の確率を減らし、成功の確率を高めていきます。シンプルですが、これを繰り返していくことが重要だと考えています。
とはいえ、それを繰り返し実行していっても、お客様が求めている目標値に届かないこともあります。しかし私たちは、売上や契約件数だけを成果として見ていません。営業活動の中で見えてくるさまざまな事象、例えば「この商材はこのターゲットにこのように売ってほしい」と依頼をされて、なかなか成果が出なかったとしたら、「そもそもターゲットが違うかもしれない」「アピールの仕方が違うかもしれない」ということが見えてきます。そこから「ではこのように売った方がよいのか」という新たな視点が生まれます。営業活動によって見えてくる新たな視点も含めての成果だとしています。プロセスで見えてきた課題と、次の打ち手を擦り合わせて、チューニングして、目標成果までの道のりを一緒に歩んでいきます。
なので私たちに発注してもらい、もともとクライアントが思い描いていたターゲットやニーズが、結果的に変わってくることはよくあります。そこに私たちの利用価値があると考えてくださるクライアントが確実に存在しています。