ABMによる新たな営業戦略とは?注目される背景やメリットを紹介
ABMと呼ばれる営業戦略をご存じでしょうか。
ABMは、以前から法人営業で主に利用されてきました。
古くからありながら一般的に浸透していなかったABMですが、なぜ最近になって注目を集めるようになったのでしょうか。
ここではABMによる営業戦略について紐解きながら、注目される背景やメリットについて紹介します。
営業成績が伸び悩んでいる場合はABMを取り入れ、営業先へのアプローチを見直してみてはいかがでしょうか。
目次[非表示]
- 1.営業におけるABMとは?
- 2.ABMが注目される3つの背景
- 3.ABMの活用で得られるメリット
- 3.1.ROIの向上に期待できる
- 3.2.部門間の連携が円滑になる
- 3.3.リソースの無駄を減り生産性が向上
- 3.4.PDCAサイクルを回しやすい
- 4.ABMを営業で活用するために必要な3ステップ
- 4.1.対象企業の設定
- 4.2.コンタクトポイントの確認と創出
- 4.3.直接的なアプローチのスタート
- 5.ABMによる新たな営業戦略を描こう
営業におけるABMとは?
ABM(Account Based Marketing)とは、企業をターゲットにしてアプローチする営業戦略の1つです。
自社にとって有益な企業かどうか選出し、重要度ごとにランク分けします。
そして、「潜在→顕在化→受注」など各企業と自社の現状の関係性をステータス化することで、最適なアプローチを探る手法です。
もともと法人営業の戦略として古くからある手法でしたが、企業の選別などに時間がかかるため運用にはデメリットの多い手法とされていました。
しかし、後述する理由によって近年注目を集めていきます。
ABMが注目される3つの背景
ABMが注目される背景には、どのようなものがあるのでしょうか。
ここでは大きく分けて3つの背景について紹介します。
部門間の問題
1つ目は部門間の問題です。
日本の企業の多くは営業部やマーケティング部、広報部などのように縦割りの組織となっており、部署ごとにプロセスを完結させることが少なくありません。
そのため部門間の連携が取れず、コアな顧客を取りこぼしたり、機会損失したりするケースが多いとされます。
こうした損失を防ぐためには部門間の連携が必須であり、ABMはこれを解決するとして注目されています。
顧客との関係性
2つ目が顧客との関係性の変化です。
日本は特に顧客を第一に優先する意識が強い企業が多く、その尽くす姿勢が長年の評価対象でした。
しかし近年では、顧客は仕事のパートナーであり、対等な関係性であるという考えが一般的になりつつあります。
顧客のニーズにあったモノやサービスを提供することが今まで以上に求められているのです。
企業側が自社にとって有益な顧客を選ぶ現代において、ABMは適した手法といえるでしょう。
IT技術の進歩
IT技術の進歩もABMが注目されたはじめた背景の1つです。
IT技術の進歩によってパソコンやスマートフォン、タブレットといったデバイスが普及し、情報をデータ化して扱えるようになりました。
その結果、データ集約や分析、一元管理、共有などが行える営業支援ツールなどが開発されるに至り、ABMを容易に行える環境が整備されつつあるのです。
これによりABMでは欠かせない企業分析を簡単に行えるようになりました。
つまり、IT技術の進歩によって効率的に企業選別が行えるようになったことが、ABMが注目されはじめた大きな理由です。
ABMの活用で得られるメリット
ここでは、ABMの活用で得られるメリットを4つ紹介します。
メリットを理解した上でABMを上手く活用しましょう。
ROIの向上に期待できる
ABMを活用することでROIの向上が期待できます。
ROI(Return On Investment)とは、投資に対してどれだけの利益を得られたかを指標化した投資利率です。
投資利率が高いほど、効果的に投資している状態であり、ABMの活用は投資利率を高めるとされています。
効率的に利益を上げるには、ABMは欠かせないといえるでしょう。
部門間の連携が円滑になる
部門間の連携が円滑になるのもABMを活用するメリットの1つです。
ABMを活用することで顧客ニーズを満たすという1つのゴールに向けて、全社的に良好な関係を構築できます。
つまり、全部門が同じ考えや価値観で業務を行えるようになるということです。
全部門で共通認識を持つことができれば、部門間の連携が円滑となり、機会損失やコアな顧客の取りこぼしなどを大幅に減らせるでしょう。
リソースの無駄を減り生産性が向上
リソースの無駄が減り、生産性の向上も期待できます。
ABM活用の最大の狙いは、重点的にアプローチするべき企業を明確化することです。
そこが明確になれば、リソースを集中しやすくなり、無駄の少ない営業戦略を描けるでしょう。
PDCAサイクルを回しやすい
PDCAサイクルを回しやすくなるのもABMを活用するメリットです。
PDCAサイクルとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」を繰り返し、継続的に業務改善する手法を指します。
前述のとおりABMは重点的にアプローチする企業を明確にします。
すなわち、ターゲットを絞り込んでいるため、効果測定がしやすく、明確な結論に行きつきやすいです。
明確な結論が出ればそこから仮説と施策、実証とPDCAを回し、改善のスピードが早まります。
営業活動を行ううえで、上手くPDCAを回せないと感じる方は、ABMを加えてみてはいかがでしょうか。
ABMを営業で活用するために必要な3ステップ
ここではABMを営業で活用するためのステップを紹介します。
ステップは大きく分けて3つです。効果的にABMを活用するためにも参考にしてください。
対象企業の設定
ABMは、まず対象企業の設定からはじめます。
ここで設定した企業には注力してアプローチするため、慎重に設定しなければなりません。
自社にとって有益と想定される企業の中から、企業の規模や業種、エリアといった属性を分析し、自社と属性が同じで、既存顧客ではない企業を選出します。
対象企業の設定の精度を上げたい場合には、帝国データバンクなどの法人リストの購入も検討しましょう。
コンタクトポイントの確認と創出
対象企業の設定が終われば、次にそれらの企業とのコンタクトポイントを確認します。
コンタクトポイントとは、企業やブランドが顧客に対して何らかの影響を及ぼすであろう情報接点のことです。コンタクトポイントが見つかれば直接アプローチできますが、見つからない場合は創出しなければなりません。
コンタクトポイントの創出には展示会といった交流の場や広告、口コミやSNSの書き込みなどがあります。
アプローチする企業に合わせた方法を駆使し、コンタクトポイントを創出していきましょう。
直接的なアプローチのスタート
コンタクトポイントが確保できれば、直接的なアプローチのスタートです。
電話やメール、商談、オンラインミーティングなどを重ねながら接触頻度を高めます。
セミナー集客などを行い、購買意欲の向上を図るのもよいでしょう。
大切なことはあせらずにゆっくりと関係を築くことです。
ABMによる新たな営業戦略を描こう
ABMによる新たな営業戦略について見ていきながら、注目される背景やメリットなどを紹介しました。
ABMは法人営業において古くから利用されてきたマーケティング戦略の1つであり、新しい手法ではありません。
しかし、IT技術の進歩や顧客との関係性、部署間との連携といったさまざまな変化によってABMは現代に適したマーケティング手法として注目を集めています。
ABMでは自社に有益となりうる企業に効率的にアプローチが可能です。
社内全体の意識共有につながる部署間の連携は、よりスムーズになるでしょう。社内連携が上手くいっていないと感じる場合は、このABMを取り入れた戦略を改めて描いてみてはいかがでしょうか。