営業DXを成功させるために必要なことは?立ちはだかる課題
政府が掲げる「働き方改革」推進のため、DXを実現しようとする企業が増えています。
その中でも、企業の収益にダイレクトに影響する営業部門におけるDX推進が重要視されている状況です。
しかし、我が国におけるDXへの認知度は依然として低く、
「そもそもDXって何?」
「営業にDXを導入するとどんなメリットがあるの?」
「何からはじめるべきなのか?」
という企業も多いと思います。
営業にDXを導入する際に解決するべき課題も多く、なかなか浸透しづらいというのが現状です。
今回は、営業DXを成功させるための必要事項や課題について解説します。
営業でDXを実現したい企業の担当者の方はぜひ参考にしていただけますと幸いです。
目次[非表示]
- 1.営業DXで組織が変わる
- 2.営業DXのメリット
- 3.営業DXの例
- 3.1.顧客管理やリードナーチャリング
- 3.2.オンライン商談
- 4.営業DXで抱える課題
- 4.1.ツール導入費用が高い
- 4.2.導入・継続運用できない
- 4.3.自社に合ったツール選定ができていない
- 5.営業DXを成功させるには?
- 5.1.自社の現状や課題を整理する
- 5.2.営業DXチームをつくる
- 6.営業代行を活用したDX推進
営業DXで組織が変わる
まずDXの概要を理解し、営業活動におけるDXがどのようなものなのか確認してみましょう。
そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは
DXとは英語の「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略語で、日本語では「デジタルによる革新」といった意味になります。
ちなみに、「Digital Transformationであれば『DT』では?』という疑問が頭に浮かぶと思いますが、英語圏では「Trans」というワードを「X」に省略する文化があるため「DX」と略されるのです。
なお、「デジタルによる革新」とは最新のAIやクラウドといったデジタル技術やITツールを駆使することで、事業の生産性を上げ収益拡大につなげる試みといえるでしょう。
さらに、企業が提供する商品やサービスによって、人々の生活や社会をより豊かにすることがDXの目的とされています。
営業活動におけるDXとは
従来の営業活動では、外勤のフィールドセールスが中心となっていました。
しかし、現在はマーケティング部門や内勤のインサイドセールス部門と連携するため、フィールドセールス部門でもデジタルシフトが進んでいます。
部門間の連携がスムーズに行なわれるためには、ITツールを活用したデータのやり取りが必須になります。
そのため、多くの企業が営業業務のDXを推進する傾向が強まっているのです。
また、営業DXに欠かせないITツールが、「セールステック」と呼ばれる「CRM(顧客管理)ツール」や「SFA(営業支援・効率化)ツール」、「BI(ビジネスインテリジェンス)ツール」になります。
セールステックを活用することで業務のデジタル化を推進し、生産性を上げる活動を行ない、最終的に収益の増加につなげることが目的です。
同時に、営業DXに伴って営業自身のITリテラシーやツールのスキルレベルを上げる教育体制の構築も必要になりますね。
営業DXのメリット
営業活動におけるDXを推進することで働き方改革にも繋がります。
生産性の向上
営業DXのメリットとして、営業活動の生産性が向上できることが挙げられます。
フィールドセールスでは顧客先へ直接訪問し商談を行なうことが一般的です。
そのため、移動時間や商談の時間も含めると、1日の商談回数は多くても3回~4回が限界となります。
しかし、Web会議システムを利用したリモート商談であれば、移動時間を考慮する必要がなくなり、1日の商談件数を増やすことが可能です。
また、交通費や残業の削減などにつながるため販管費抑制にもつながるでしょう。
その他にも、CRMツールやSFAツール、BIツールなどを活用したインサイドセールスを実施して見込顧客を絞り込めれば、商談の成功率を上げることも可能です。
ほかにも営業日報を音声で入力したり、契約締結を電子契約化できたり、毎日の作業工数を大幅に削減するツールも徐々に増えてきております。
最近では、パソコンで行う提携作業を自動化できる「RPA(Robotics Process Automation)ツール」やAIも多く活用されてきています。
有効活用すれば、営業事務の作業工数を減少させ空いた時間をコアな営業活動に割けるようにもなるでしょう。
管理の精度が向上
CRMツールやSFAツールを導入して営業DXを実現すれば、顧客ステータスの管理や営業の活動ログ管理の精度を高められることもメリットの一つです。
CRMツールを有効活用し、顧客ステータスの厳密な管理を行えれば、最適な提案内容や時期が把握しやすくなるでしょう。
営業としては、引継ぎ時の工数や、履歴確認にかかるコミュニケーションコストが大幅に削減されます。
顧客としても、いつ・どの担当と・どのような会話がなされたか、理解したうえで会話をされる方が円滑に会話が進むため、コミュニケーションストレスも減ります。
こういった点で、商談の成功確率向上や営業の業務効率化などが行えます。
SFAツールでは営業の行動を一元管理することで、商談や電話の回数、内容、結果などを自動収集できます。
そのため、営業の管理精度が大幅に向上するのです。
顧客の管理状況が見える化されることで、業績管理がスムーズになり営業自身のアクションプランも立てやすくなります。
ほかにも、行動を見える化することで営業のスキルアップにも使えます。
SFAツールを導入してトップ営業の行動履歴や営業トークを分析し社内共有し、スキルを平準化する取り組みを行っている企業もあります。
その結果、商談成功率が上がれば、事業の成長にも繋がっていくのではないでしょうか。
働き方改革ができる
営業DXが実現すれば、同時に働き方改革の実現にもつながります。
営業DXを推進することで業務フローの最適化や効率化を行うことで、業務工数を大幅に削減可能です。
よって、より少ない工数で営業活動ができるようになるだけでなく、これまで時間を割くことができなかった業務も行えるようになります。
日本は少子高齢化社会に入り、年々労働人口が減少している状況です。
そのため、政府は国内企業に働き方改革を励行することで、効率よく生産性を上げる施策を展開しています。
また、企業側にとっても営業の採用がどんどん困難になってきており、少ない人数で効率よく営業活動が行える体制の構築が必須といえるでしょう。
したがって、日本企業にとって働き方改革は急務な課題であり、それを実現させる手段であるDXも重要なミッションといえるのです。
営業DXの例
営業DXの活用事例を紹介するので、自社にマッチしたものがないか確認してみましょう。
顧客管理やリードナーチャリング
中古車販売会社の株式会社IDOMでは、CRMツールやSFAツール、MA(Marketing Automation)ツールを活用して営業DXを推進したことで、リードナーチャリングの効率化に成功した企業です。
同社はITツールの活用によって、継続的なコミュニケーションをとることで、顧客に最適な提案を最適なタイミングで行えるようになり業績アップに繋げられたようです。
さらに、成約率の高い顧客の傾向を分析できるようになったことで、効率よく商談が行えるようになり収益増加につながったそうです。
引用元:https://jp.marketo.com/customers/idom.html
オンライン商談
新型コロナウイルスの影響で、顧客先へ訪問する営業活動ができなくなった企業が増え、オンライン商談がニューノーマルとなりつつあります。
オンライン商談とは「Zoom」や「Microsoft Teams」というようなWeb会議システムを活用して、オンライン上で実施する商談です。
オンライン商談を実施するメリットは、移動時間をカットすることによる営業活動の効率化になります。
これまで移動に充てていた時間に別の商談が実施できるため、営業1人あたりの業務効率を飛躍的に上げることが可能です。
また、移動距離を考慮する必要がなくなりますので遠隔地への営業活動もスムーズにでき、マーケット拡大が検討できるケースもあるでしょう。
オンライン商談であれば先輩営業や上司も同席しやすいため、新人営業でも安心して商談に臨むことができます。
営業の人材育成という視点においても、大きなメリットがあるのです。
営業DXで抱える課題
営業DXを推進するためには、DX人材の確保や育成、ツールの選定や有効活用できる体制の構築など多くの課題があります。
ツール導入費用が高い
営業DXを実現するためには、CRMツールやSFAツール、BIツール、MAツールを導入する必要があります。
しかし、ツールの中には初期費用やランニングコストをはじめ、多くのコストがかかります。
そのため、中小企業などにとっては導入ハードルが高い点が課題となることがあります。
また、AIやRPAを導入すれば事務作業を大幅に削減することができますが、AIソリューションはまだまだ安価なものが少なく、導入費用が高くなりがちです。
よって、ある程度の予算が確保できる企業でなければ、思うような営業DXが進めづらい点が課題といえます。
導入・継続運用できない
少子高齢化による労働人口の減少に加え、日本企業には慢性的にプログラマーやエンジニアといったDX人材が少ない点が課題になっています。
そのため、営業DXを推進したくても、それをけん引するDX人材が不在で進められないのです。
さらに、DX人材は現在売り手市場となり、採用が困難な状況になっています。
大手IT会社などに人材が集中する傾向にあり、一般企業にはそもそもDXを推進できる人材がいない場合もあるのです。
DX実現のために導入したITツールを継続運用できる体制構築や定期的なメンテナンス、不具合対応なども必要になります。
DX人材を社内で育成する体制を整えることや、場合によってはリソースをアウトソースして営業DXを推進する必要も出てくるでしょう。
自社に合ったツール選定ができていない
ここまで紹介した通り、営業DX実現のためにはさまざまなITツールを活用しなくてはなりません。
よって、自社の課題解決につながるITツールの選定が不可欠になります。
しかし、そもそも自社の営業活動における課題の抽出ができていなければ、最適なツールの選定は行えません。
そのうえでITツールの特徴を理解して、自社の課題解決にどう役立つか判断していかなければなりません。
よくあるケースとして、CRMツールやSFAツールを導入するだけでDXが実現できると勘違いするケースです。
これらのITツールは各社にマッチしたものを選ばなければ、高い効果は得られません。
そのため、せっかくツールを導入しても使わなくなってしまい、結果としてDXが実現できないというパターンに陥るのです。
この点においても、前述したようなDX人材の確保や育成が急務といえますが、現場メンバーが有効活用できるITツールの選定も重要なポイントだといえるでしょう。
営業DXを成功させるには?
営業DXを実現する可能性を上げるためのコツを紹介します。
自社の現状や課題を整理する
営業DXの目的は、自社の課題を解決し生産性および収益向上を達成することです。
そのため、DXを推進する場合には、まず自社の現状把握や課題の整理を行うことが先決となります。
営業活動における課題の洗い出しを実施すると同時に、業務フローの見直しを行いましょう。
業務フローを見直していくと、
「そもそもこの作業必要だっけ?」
「なんでこのツール使っているの?」
「どうして同じ作業を2回行っているの?」
などの課題が浮き彫りになります。
場合によっては、慣例的や惰性的な業務フローになっていることもあるため、DXを推進することで根本的に見直すのがよいでしょう。
また、自社の現状や課題を洗い出しあるべき姿が明確になったら、できるだけ具体的な数値目標を設定しPDCAを回していくこともDXの重要な活動になります。
DXに限らずいえることではありますが、自社の現状や課題を洗い出しや整理は、初回だけでなく定期的に継続する必要があるということです。
生産性や収益の向上につなげるためには、小さなDXを継続的に実現することが不可欠になります。
営業DXチームをつくる
営業DXを推進するには、専任の営業DXチームを創ることがおすすめです。
フィールドセールスやインサイドセールスなど、部門毎に日々の業務に忙殺されていることも多く、業務とDXを並行して進めることが困難といわれています
そのため、フィールドセールスの営業が片手間でDXを推進した場合、どちらも中途半端になり残念な結果になってしまう可能性が高いでしょう。
したがって、DX推進に専念できるスタッフを集めた営業DXチームをつくることが、DX実現の近道といえるのです。
ただし、社内に最適な人材がいない場合は、外部のDX人材雇用も視野に入れて検討する必要があります。
営業代行を活用したDX推進
営業DXの実現は全日本企業において、急務であるといえます。
政府もデジタル庁に向けてDX人材を募集しているようです。
DX人材の確保が難しい状況の中、現実的に実施不可能という企業も出てくるでしょう。
そのような場合は、営業DXに強みを持った営業コンサルティングに相談してみることも一つの選択肢です。
インプレックスアンドカンパニーでは、営業組織分析や戦略構築、リード獲得、商談に至るまで、お客様の営業DXの実現をサポートします。
「DX人材がいない...」
「どうすれば営業DXができるか...」
など、様々な課題に対して最適なご提案をいたします。是非一度ご相談いただけますと幸いです。