営業戦略の立案に欠かせない7つのフレームワークとは?
営業戦略の立案は、フレームワークを活用することで、課題解決方法を論理的に明らかにすることができます。
自社の考えやアイデア・情報を整理することができたり、現状把握ができたり、説得力のあるコミュニケーションができたりするようになるため、効率よく営業活動を進めることができます。
フレームワークは過去の成功事例をもとにつくられているので、ゼロから物事を考える必要がなく、情報や考えを図式に当てはめるだけで、問題点や課題の解決策を導くことが可能です。
また、現状や課題が見える化されるため、顧客や社内のチームにもわかりやすく、共通認識を持つためにも有効なツールです。
フレームワークを活用した営業戦略の経験を積むことで、営業としてのスキルアップも期待できます。
この記事では、営業戦略でフレームワークを活用するメリットから、代表的なフレームワーク7つについて解説します。
目次[非表示]
- 1.営業戦略のフレームワークとは?
- 2.営業戦略でフレームワークを活用するメリット
- 2.1.効率的に営業戦略を立てられる
- 2.2.営業戦略を見直しやすい
- 3.営業戦略で使えるフレームワーク7つ
- 3.1.3C分析
- 3.2.SWOT分析
- 3.3.AIDMA・AISAS
- 3.4.4P分析
- 3.4.1.Product(製品)
- 3.4.2.Price(価格)
- 3.4.3.Place(流通)
- 3.4.4.Promotion(販売促進)
- 3.5.5W1H
- 3.6.PEST分析
- 3.7.BANT条件
- 3.7.1.Budget(予算)
- 3.7.2.Authority(決裁権)
- 3.7.3.Need(必要性)
- 3.7.4.Timeframe(導入時期)
- 4.営業フレームワークを活用しよう
営業戦略のフレームワークとは?
フレームワークとは、ビジネスにおいて経営環境や経営戦略を考えるときに、その目的に合う考え方の枠組みに当てはめ、分析や新しいアイデアを論理的かつ効率的に導き出すツールです。
フレームワークはこれまでの成功事例をもとに考案されているので手順が明確かつ図式化されているので、顧客に自分の提案を説明する際、聞く側においても、わかりやすい仕組みです。
数学の公式のようなもので、結果をどうやって導き出したかが見える化される、情報やアイデアを公式に当てはめることで現状の課題を早く解決に導くことができるメリットがあります。
フレームワークは様々な種類があるため、使い分けが難しく、慣れないうちは上手く使いこなせないケースも出てくるでしょう。
まずはフレームワーク化する習慣をつけることがポイントで、日頃から自分の業務やアイデアを整理し要点をまとめます。
その後、自分以外の人に説明できるかどうか、他の人が見ても理解できるかどうかを確認します。
たくさんのフレームワークを使いこなし、事例を通して使いながら覚えていくことで問題解決能力も自然と身につくので、スキルアップにもつながるでしょう。
営業戦略でフレームワークを活用するメリット
フレームワークはビジネス上の情報や課題を図式に当てはめ、考えを整理し、解決へと導くツールです。
この章では営業戦略でフレームワークを活用するメリットを紹介していきます。
効率的に営業戦略を立てられる
営業戦略でフレームワークを活用する場合、決められた図式に情報やアイデアを当てはめるだけなので、答えを出すプロセスが効率化します。
また、先ほども述べたように答えを出すためのプロセスも見える化できるので、チームで営業戦略を共有し、議論することも可能です。
例えば、新規事業や新しいサービスを立ち上げる際、フレームワークを活用し市場や競合を分析し、自社と比較することで、どこに機会があり、どこにリスクがあるのかなどの状況把握に役立ちます。
営業戦略を見直しやすい
営業戦略をフレームワークに当てはめると情報や思考が整理されるため、課題解決の方法を見つけやすくなります。
例えば、フレームワークを使って3年~5年後の予測をしてみると、自社のビジネスが影響を受けやすい要因が見つかることがあります。
予測の時点ではまだ軌道修正ができるため、新規事業を始める際にはフレームワークを活用し、必要な場合は営業戦略の見直しを検討すると良いでしょう。
営業戦略で使えるフレームワーク7つ
営業戦略で使うフレームワークは課題によってふさわしいものを使う必要があります。
この章では営業戦略で使えるフレームワークを7つご紹介します。
3C分析
3C(サンシー)分析とは、自社、市場そして競合の環境を整理するために活用するフレームワークです。
3CとはCustomer(市場・顧客)、Competitor(競合)、そしてCompany(自社)の略です。
それぞれを整理するポイントですが、まず自社については
①自社の企業理念
②自社製品の売上や戦略、製品ラインナップ、市場シェア
③自社の特徴、強み、弱み
④ヒト・モノ・カネのリソース
などが挙げられます。
市場・顧客の部分では、
①市場規模
②市場のニーズ
③顧客ニーズ、購買行動
などが挙げられます。
そして競合の部分では、
①競合各社の市場シェア
②競合の特徴
③新規参入企業
④自社が注意すべき企業(製品やターゲットユーザーが似ているなど)
などが挙げられます。
3C分析に適しているタイミングは新事業の方向性を決めるとき、新製品を出すときなどで、新しい製品やサービスをどこで、どのように、どのようなユーザーに対して売り込んでいくかなどを分析する場合に使います。
SWOT分析
SWOT(スウォット)分析とは、自社内部環境(自社でコントロール可能)の強みや弱みと市場や競合などの外部環境(自社がコントロール不可能)を軸に、自社の課題を分析するフレームワークです。
SWOT分析では自社に適切な戦略を考えるときに使います。
SWOTとは、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の略です。
SWOT分析を行うことで、自社のポジショニングを把握しそこから営業戦略を立てていきます。
自社の現状課題や、今後の市場機会の発見に活用できるフレームワークです。
3C分析の結果をSWOT分析のフレームワークに当てはめ、詳細な現状把握に活用するケースも見られます。
AIDMA・AISAS
AIDMA(アイドマ)とAISAS(アイサス)はともに消費者の購買行動モデルです。
購買行動とは、消費者が商品やサービスを認知してから購入するまでのプロセスを体系化したものです。
購買行動モデルはAIDMAとAISAS以外にもさまざまなものがありますが、特に有名なものがこの2つです。
AIDMAはインターネットが普及する前に提唱された購買行動モデルです。
Attention(認知)、Interest(興味)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)の略です。
各項目についての考え方は、以下の通りです。
認知:製品を知らない消費者に知ってもらうための施策を打つ
興味:製品を知っているが興味のない消費者に興味を持ってもらえるよう働きかける
欲求:興味はあるが欲しいと思っていない消費者に価値を伝え共感させる
記憶:欲しいと思っている消費者にきっかけを与える施策を打つ
行動:買いたいと思っているが機会のない消費者に接触機会を増やすような施策を打つ
一方で、AISASはインターネット普及後に日本の広告代理店によって提唱された購買行動モデルです。
Attention(認知)、Interest(興味)、Search(探索)、Action(行動)、Share(共有)の略です。
AIDMAと異なる部分として、商品に興味を持った消費者がインターネット検索し、競合と比較をするため、検索にひっかかるような施策や競合よりも優位な点をアピールする(探索)、消費者がSNSなどで口コミや感想を共有し、それを見たほかの消費者が検索をする(共有)があります。
どちらも事業分析や戦略に落とし込むために使われる営業戦略のフレームワークですが、デジタルが主流となった現在ではAISASをするケースが多くなりました。
4P分析
4P分析とは、マーケティングミックスの代表例のひとつです。
マーケティングミックスとは、「マーケティング戦略において、望ましい反応を市場から引き出すためにマーケティングツールを組み合わせること」です。
4Pとは、製品(Product)、価格(Price)、販売促進(Promotion)、流通(Place)の略です。
それぞれを競合と比較・分析し、自社のどの製品を(Product)、いくらで(Price)、どこで(Place)、どのように(Promotion)売っていくかを考えるフレームワークです。営業戦略を具体化する際に使われます。
各過程で注意すべき点は以下の通りです。
Product(製品)
自社が売りたいものではなく、顧客にどのようなニーズがあるか、この製品から顧客が得るメリットは何か、という観点から考える必要があります。
さらに、市場で自社の製品をどこにポジショニングするかを考える点もポイントです。
Price(価格)
市場で販売するための価格を設定します。
自社がターゲットとする顧客が購入してくれる価格であるか、利益を得られる価格であるかを十分に検討する必要があります。
Place(流通)
製品を市場に流通するための流通経路、製品を販売する場所を考えます。
例えば、店舗で販売する製品であれば、自社店舗、スーパー、コンビニなどの形態があります。
ネット通販を利用すれば受注から販売までをネットだけで完結させることも可能です。
確認ポイントは、自社のターゲット顧客がリーチできる流通・販売形態になっているかどうかです。
Promotion(販売促進)
自社の製品を顧客にどう知ってもらうかです。
顧客にただ認知してもらうだけではなく、興味を持ってもらい購入につなげるために、販売促進を考える必要があります。
幅広くターゲットを設定する場合はCMや広告、ピンポイントでターゲットを絞る場合はダイレクトメールなどの活用が有効です。
5W1H
5W1Hは、Who(誰が)、Where(どこで)、What(何を)、When(いつ)、Why(なぜ)、 How(どのように)の略です。
一般的にも活用されるフレームワークで、上長への進捗報告や部下に説明するときにも使われます。
営業戦略のフレームワークとして活用する場合の例として、以下のように使います。
誰が(Who)ターゲットとなるか
どこで(Where)販売するか
何を(What)販売するか
いつ(When)発売するか
なぜ(Why)製品が必要か
どのように(How)販売促進するか
誰が見てもわかりやすいフレームワークのため、アイデアや思考の整理がしやすく、チームや顧客に伝える場合にも有効です。
PEST分析
PEST(ペスト)分析とは、マクロ環境が自社に与える影響を分析するフレームワークです。
マクロ環境とは、組織に機会をもたらしたり、脅威を与えたりする可能性があって、自社では働きかけることが難しい社外環境のことを指します。
具体的には人口統計的環境、経済環境、技術環境、政治環境、社会環境などがあります。
※一方、ミクロ環境は、自社で働きかけることで変化が見込めそうな、社内・業界内の環境のことです。
顧客の動向、競合動向、製品技術、協力者、株主、その他の利害関係者の動向などがあります。
ミクロ環境の外側に、マクロ環境が取り巻くようなイメージです。
PESTとは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の略です。
ビジネスは常に世の中の変化=マクロ環境の影響に大きく左右されるため、中長期的にマクロ環境を予測し、自社が取り組むべき戦略や課題を事前に見つけ出すことが必要です。
例えば、Politics(政治)の部分では法改正や政権交代など、Economy(経済)では景気動向、株価、消費動向など、Society(社会)では人口、流行など、そしてTechnology(技術)ではITやビックデータ、新技術などを分析します。
PEST分析では自社に影響を与える可能性がある要因やその度合いを分析できます。
PEST分析を活用するタイミングとして適しているのは、新規事業や新しいサービスを展開するときです。
3年~5年後の予測を立てることでマクロ環境に変化があったときにも対応できる可能性がある点がメリットです。
BANT条件
BANT(バント)条件は営業の際に顧客にヒアリングすべき項目のことです。
BANTとは、Budget(予算)、Authority(決裁権)、Needs(必要性)、Timeframe(導入時期)の略です。
Budget(予算)
一案件で顧客が想定している予算
Authority(決裁権)
顧客企業の中での購買決裁の権限者
Need(必要性)
顧客企業の中で誰のニーズなのか(部門、または会社全体など)
ニーズは具体的になっているか
Timeframe(導入時期)
具体的なスケジュールや導入時期の確認
はじめに把握しておくべきことはBudget(予算)です。
予算によって決裁権やニーズへの提案内容、スケジュール感が変わるためです。
BANT条件に沿って質問ができるようになると、案件の全体像がつかみやすくなり営業戦略が立てやすくなります。
営業としてのスキルアップも期待できるフレームワークです。
営業フレームワークを活用しよう
以上述べてきたように、営業戦略を立てるうえでフレームワークの活用が有効です。
過去の成功事例に基づいて作られた図式のため、当てはめるだけで情報やアイデア、思考の整理ができるだけでなく、チームや顧客が同じ目線でプロセスを追うことができます。
フレームワークは、活用のタイミングやシチュエーションによって、適切なものを選ぶことがポイントです。
フレームワークを活用した事例が増えることで、営業スキルの向上も期待できるため、本記事で紹介したものを一通り理解しておくとよいでしょう。
インプレックスアンドカンパニーでは、フレームワークを活用した営業戦略で仮説構築からクロージングまでを一貫してサポートいたします。フレームワークの活用で、当社と企業様で共通認識を持ちながら、プロセスを明確にし、効率よくプロジェクトを進めることが可能です。
営業戦略の立案や新規事業の立ち上げでお困りであればぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。