【営業組織のあるべき姿とは?】改革に必要な5つの取り組み
営業部門のマネージャーは、生産性を向上し目標売上を達成できる組織を作ろうと日々奮闘されていると思います。
組織の課題や問題点が明確になってくると、次に必要になるのが営業組織の改革です。
営業組織の改革を実施する場合には、まず営業組織のあるべき姿を明確化し、改革に必要なアクションを起こす必要があります。
またそのためには、営業組織を改革すべき理由もはっきりさせておくべきでしょう。
今回は、営業組織の改革に必要な5つの取り組みをご紹介します。
目次[非表示]
- 1.営業組織の"あるべき姿"とは?
- 2.営業組織を改革すべき理由
- 2.1.人手不足・働き方改革
- 2.2.市場競争の激化
- 3.営業組織の改革に必要な取り組み
- 3.1.社員の意識改革
- 3.2.営業活動の見える化
- 3.3.営業ナレッジの共有
- 3.4.優秀なリーダーの選任
- 3.5.営業とマーケティングの連携
- 4.営業組織の最適化で生産性を上げよう
営業組織の"あるべき姿"とは?
営業組織のあるべき姿とは、従来の個人プレーが中心の営業組織ではなく、共通の目標に向い推進できる営業組織といえます。
営業一人ひとりが組織の共通目標を認識し、それを達成するために他のメンバーとコミュニケーションを取りながら協力して活動できる組織への改革が必要です。
営業組織をあるべき姿に改革するためには、以下3つの課題をクリアしなくてはなりません。
1:営業組織に明確な目標があり、営業全員がそれを認識していること
2:すべての営業が互いに協力しあう風土の醸成
3:営業組織のコミュニケーション円滑化
つまり、トップ営業など一部のメンバーに依存する組織ではなく、組織内のすべてのメンバーがコミュニケーションを取りながら協力して1つの目標を達成する組織をつくることが重要となります。
営業組織をあるべき姿にすることで、仕事へのモチベーションや生産性が向上し、目標売上の達成を実現することが理想的な形になります。
営業組織を改革すべき理由
営業組織を改革しなくてはいけない外的な要因もあります。
市場環境の変化に対応するためにも営業組織の改革は必須なのです。
人手不足・働き方改革
日本は少子高齢化社会に突入しています。
2025年には国民の4人に1人が75歳以上の高齢者になり、少ない労働人口で多くの高齢者を支えなくてはなりません。
また、労働人口も年々減少の一途をたどっており、労働力確保はすべての企業において最重要課題となっています。
一方、政府も企業の生産性向上を促すために「働き方改革」を推進している状況です。
したがって、営業組織においても、営業マンの生産性を上げるために情報やナレッジを共有し効率的な営業活動を行うことが求められています。
市場競争の激化
市場環境は常に変化します。
特に近年は新型コロナウイルスや自然災害などの影響もあり、先行きが見通しづらく、臨機応変に市場の変化に対応する能力がすべての企業に求められている状況です。
各企業は他社との差別化に注力することで、市場競争を勝ち抜こうとしています。
また、業種によっては隣接する市場やまったく別の市場への商品、サービスを投入する企業も現れており、市場競争の激化は避けられません。
厳しい市場競争に打ち勝つためには、強い営業組織が必要です。
他社との競争にいかに打ち勝っていくか、質の高い営業が求められています。
営業組織の改革に必要な取り組み
営業組織を改革するためには、以下5つの取り組みを実施することが必要不可欠です。
社員の意識改革
営業組織を改革するためには、まず営業の意識から改革する必要があります。
しかし、今まで個人プレーで営業を行なってきた営業が、組織で協力しながら営業を行うことに反対する可能性もあるでしょう。
よって「なぜ組織として営業活動を行うべきか」その理由をしっかり説明し、協力してもらうことが必要になります。
ここで認識すべきことは、「意識を変えよう!」と考えているだけでは効果が期待できない点です。
営業の意識改革にフォーカスするのではなく、行動を変える仕組みづくりが重要になってきます。
そのためには、以下4つのポイントを押さえるようにしましょう。
1:アクションを阻害する要因の撤廃
2:商談時に話のきっかけになるツールの提供
3:自発的な活動によって得られる成功体験
4:ロールモデルとなる人材の配置
まず、営業が自発的に商談を行い成果を上げるためには、商談に集中できる時間の捻出が必要です。
社内で行う報告書、レポート、顧客管理といったデスクワークを簡略化し、商談に割ける時間を増やせる環境をつくらなければなりません。
次に、提供しているサービスや商品のラインナップが長期間変わらないと、営業は顧客に対する提案や話題をつくるのが難しくなります。
よって、定期的に新商材・サービスを追加したり、キャンペーンなどを実施したりすることで、商談のきっかけとなるアイテムが増え、積極的に活動できるようになるでしょう。
なかなか成約に結びつかない営業は、商談に対してネガティブなイメージを持ちやすくなります。
「今回もどうせダメだろう……」という意識に支配されると、積極的に活動できなくなるため、成功体験を積んでポジティブな意識を持ってもらうことが必要です。
前向きな活動の結果、成約を勝ちとったという成功体験をすることで、営業は継続的に自発的な活動ができるようになります。
最後に、目標を明確化するためにお手本となる人物をロールモデルとして設置することも、営業マンの意識改革には効果的です。
営業活動の見える化
営業活動を共有管理し、プロセスに改善できる点がないかチェックすることも営業組織を改革する際には大切なポイントです。
従来の営業活動は営業が個人で成果を上げるスタイルが定常化していたこともあり、案件の進捗や担当者、リード管理などが営業部全体で可視化されていないことが多くありました。
それでは営業活動がブラックボックス化され、課題や問題点があっても改善できないうえ、優れた営業のスキルやノウハウを営業組織内で共有することも困難でしょう。
よって、営業活動を見える化は、営業組織の改革にとって必要不可欠です。営業活動を見える化することで、以下のようなメリットがあります。
・営業組織の課題発見
・業務効率化
・営業スキルの平準化
営業活動の可視化によって、組織の問題点や課題、市場や顧客の課題などが明確になり、対策の検討・実施が可能になります。
また、営業活動のプロセスは、顧客対象の絞り込みに始まり、リード育成、アポイントメント調整、提案内容の検討、商談、クロージングといった細かいステップに分かれており、どこに問題点があるのかを把握しなくてはなりません。
ボトルネックになっているステップが明確になれば、対策も打ちやすくなりスピーディーに問題解決に至るというわけです。
次に、営業活動が可視化できれば案件の進捗状況や担当者が把握できるので、必要に応じてフォローアップできます。
また、新人営業で対応が困難な場合などは、ベテラン営業が商談に同行するといった対応もスムーズに行え、成約につながる確率が高まり業務効率化につながるでしょう。
営業活動の見える化には、営業ナレッジが共有できるというメリットもありますが、こちらは次項で解説します。
営業ナレッジの共有
営業組織を改革するためには、営業ナレッジを共有し組織全体で営業スキルの向上を図ることも重要です。
CRMやSFAなどのITツールを活用して営業活動が見える化できれば、トップ営業がどのように成約を勝ちとっているかというノウハウを営業部門全体で共有できます。
トップ営業のスキルを他の営業が実践できれば、営業部門全体のスキルアップにつながり、売上目標の達成に近づくことができるでしょう。
また、失注に至った商談の情報も共有することで、問題点や課題点を洗い出し、他の営業が同じ失敗を繰り返さないようにする効果も期待できます。
営業ナレッジを共有できれば、トップ営業のみに依存しない強い営業組織をつくることができるでしょう。
しかし、CRMやSFAは、取り扱うためにもITリテラシーが必要かつ、管理担当者を置く必要もあるため、かえって手間になることも考えられます。自社の状況や体制を考えた上で導入を検討しましょう。
優秀なリーダーの選任
強い営業組織を作るためには、優秀なリーダーが必要不可欠です。営業の意識改革を実現するためには、ロールモデルとなる人材を選任することで、明確な目標指針を示す必要があります。
優秀なリーダーが前向きに活動し、次々に成約を勝ちとる姿を目の当たりにすることで、周囲の営業にもポジティブな影響を与えることが可能です。
また、自身の行動や商談内容と比較することで、課題や問題点に気付き行動変容を促しやすい点も大きなメリットだといえるでしょう。
単純に「意識を変えろ」と言われても、営業の意識改革はなかなか起こりません。
あるべき姿を明確に示し、目標を可視化することで初めて、どのように行動するべきかが明確になり意識改革へとつながるのです。
営業とマーケティングの連携
営業組織を改革するためには、営業部門以外の部門との連携強化も必要です。
中でも、マーケティング部門との連携は重要なポイントだといえるでしょう。
変化の激しい市場ニーズに臨機応変に対応するためには、継続的なマーケティング活動が必須になります。
多忙な営業がマーケティングに多くの時間を割くことは困難です。
しかし、いつまでも同じスタイルの商談を繰り返していると、成約率が徐々に下がる可能性が高くなるでしょう。
市場や競合の状況を常にウォッチすることで、情報をブラッシュアップしていく必要があります。
商談や提案内容も常に時流や市場ニーズに合ったものを準備しておかなければ、高い成約率を維持することは困難でしょう。
一方、営業部門独自でマーケティング活動を行うケースもありますが、部分最適にならないように注意する必要があります。
市場の状況は刻一刻と変化するため、想像以上に早い情報のブラッシュアップが必要です。
マーケティング部門との連携を強化し、どのような顧客にどのような価値を提供するべきなのか、企業内のベクトルを一致させておかねばなりません。
営業組織の最適化で生産性を上げよう
営業組織を改革するためには、
1:営業組織に明確な目標があり、営業全員がそれを認識していること
2:すべての営業が互いに協力する風土の醸成
3:営業組織のコミュニケーション円滑化
という3つの課題を解決することが必須です。
また、
・社員の意識改革
・営業活動の見える化
・営業ナレッジの共有
・優秀なリーダーの選任
・営業とマーケティングの連携
などの取り組みを行う必要もあります。
営業組織の改革実現への道のりは簡単ではありませんが、取り組みに値する効果も期待できますので、ぜひチャレンジしてみてください。