【営業組織体制の整え方】理想的な組織を構築するためには?
企業とは、様々な組織の集合体ですが、営業組織もその中の一つの組織です。
営業は一般的には個人で動くものというようなイメージがあるかもしれませんが、組織である以上は個人の勝手な判断だけで動いていたらバラバラになってしまい、成果を上げることも難しいでしょう。
そこで、今回はそもそも理想的な営業組織とはどのようなものなのか、そして、理想的な営業組織をつくっていくためには何をすべきなのかについてお伝えします。
目次[非表示]
- 1.理想的な営業組織とは?
- 1.1.理想的な営業組織の要件とは?
- 2.営業組織の体制を整える方法
- 2.1.目標を明確にする
- 2.2.人員配置を見直す
- 2.2.1.各業務に必要な人員数を明確にする
- 2.2.2.現在の営業社員のスキルを把握する
- 2.2.3.新たな人員配置を行い、定期的に効果測定を行う
- 2.3.営業マネージャーの役割を明確化する
- 2.4.評価制度を見直す
- 2.5.営業メンバーにヒアリングを行う
- 3.営業組織の体制を整えるときのポイント
- 3.1.計画的に実施する
- 3.2.ITツールを活用する
- 4.営業組織の足場を固めよう
理想的な営業組織とは?
企業は、あらゆる組織で構成されており、それぞれに役割があります。
例えば、商品企画・開発であれば、消費者のニーズを的確につかみ、そのうえで競合他社との差別化をしつつ、消費者の期待を上回る商品を生産することが役割です。
また、経理組織であれば、企業活動をするうえで日々発生するお金の情報を収集し、帳簿を作成することで、企業活動を円滑に進めるためのデータを作成するのが役割だといえるでしょう。
では、営業組織の役割とはどのようなものなのでしょうか。
基本的には企業や個人のお客様に対し、自社の商品やサービスを案内して、売買契約を締結することが営業組織の大きな役割です。
しかし、企業によっては新規顧客の獲得も営業組織の重要な役割となります。
特にマーケティング部のない企業では、市場調査、見込み顧客の集客などもすべてを行う必要があり、ひと口に営業組織といっても、多くの役割を任される場合もあります。
理想的な営業組織の要件とは?
理想的な営業組織とは、個人が役割を理解し、恒常的に利益を上げられる組織と考えられます。
企業活動は営利活動のため、利益を上げなければ活動自体ができなくなってしまいます。
これは営業組織だけに限った話ではありませんが、営業組織の役割自体が、企業の利益に直結するため、営業組織にとってはより重要なポイントです。
・利益を上げるために明確な成果を挙げられていること
・チームとして円滑に業務を行える環境が整備されていること
の二点を実現していることが、理想的な営業組織であるといえるでしょう。
営業組織の体制を整える方法
では、二つの要件を満たすために営業部として営業組織体制の整備が必要です。
ここでは、営業組織というチームで円滑に業務を行うための具体的な方法について説明していきます。
目標を明確にする
営業組織体制を整えるためには、営業部全社員で目標を明確にし、共有することが必要です。
その上で、常に進捗状況を確認しながら目標への軌道を修正していきます。
目標を管理する方法はいくつかありますが、ここでは代表的なものとして、KGIとOKRをご紹介しましょう。
KGIとは?
Key Goal Indicatorの略称で、日本語では重要目標達成指標と訳します。
KGIは売上額や利益額などの具体的な数値指標を定め、それを達成するために、営業組織での目標、訪問件数や受注件数を設定します。また、毎月(毎週・毎日の場合もあり)、進捗を確認していきます。
ちなみにKGIを達成させるための訪問件数や受注件数といった中間指標はKPI(Key Performance Indicator)、日本語では重要業績評価指標と訳します。
ポイントは、最終の数値目標の達成水準を100%とし、確実に達成できるであろう数値を設定することです。
OKRとは?
OKRとは、目標(Objectives)と成果指標(Key Results)を組み合わせた造語です。
KGIに比べ、新しい目標管理方法で、もともとはインテル社で誕生し、その後、最近ではGoogleやFacebookでも導入されています。
KGIが売上額や利益額といった定量的な数値指標を設定するのに対し、OKRの最終目標は定性的なものです。
例えば、海外進出や看板商品を全国展開するといった企業としての最終目標を達成させるために、営業部としてできることを数値指標として設定します。
KGI(KPI)との違いは、最終目標が定量的か定性的かだけではありません。
もう一点、大きな違いが、中間指標の達成水準がKPIの場合、100%達成が可能であろう数値であるのに対し、OKRは60~70%を達成水準としている点です。
そのため、KPIに比べてより大胆な目標設定が可能になり、社員一人ひとりが思い切ってチャレンジできる環境をつくり出せます。
KGIとOKR、どちらの目標管理方法を導入するかは、企業風土や環境によっても異なります。
どちらが正しいということではなく、自社に合ったほうを選択しましょう。
重要なポイントは、どのような方法を使うかよりも、目標を明確化し社員同士が共有して切磋琢磨できる環境がつくれるかどうかです。
人員配置を見直す
人員配置の見直しも必要です。
どれほど優秀な社員が揃っていたとしても、適切な人員配置ができていなければ意味がありません。
場合によっては、業務効率の低下や業績悪化などを引き起こしてしまう可能性もありえます。
現在の各メンバーの役割は、本当にそのメンバーに適した役割なのかを改めて見直しましょう。
適切な人員配置のポイントとしては次のような点が挙げられます。
各業務に必要な人員数を明確にする
例えば、A地区に必要な営業社員は何人なのか、過去の営業成績、就業時間などのデータから割り出します。
ただし、単純に人数だけを割り出すのではなく、それぞれの社員のスキル、知識、経験年数なども加味することを忘れないように注意しましょう。
現在の営業社員のスキルを把握する
在籍中の営業社員のスキル、知識、経験年数などを把握しましょう。
また、面談を実施し、仕事に対するモチベーションや希望を聞き出すことで、それぞれがどの業務に適しているか、場合によっては異動や新たな人員の雇用を検討します。
新たな人員配置を行い、定期的に効果測定を行う
人員配置を整えた上で、定期的に効果測定や面接を実施し、効果が出ない部分に関しては、改めて人員配置の見直しをしましょう。
注意点としては、あまり早急に結果を求め過ぎないことです。
基本的に人員配置自体で売上が急増することはありません。
人員配置はそれぞれの社員の個性や適性を見定め、より力を発揮できる可能性のある業務へ配置するためのもので、売上と直結するものではないのです。
そのため、結果が出ないからといって頻繁に人員配置を繰り返すと効率が悪くなるうえ、チームとしての結束や環境も悪化してしまいます。
営業マネージャーの役割を明確化する
組織として円滑に業務を行える環境を整備するには、リーダーが非常に重要な役割を果たします。
メンバーの意見をよく聞き、課題点があればすぐに適切な指導を行うといったリーダーシップをとれる人員を育てなければなりません。
ポイントは、営業マネージャーとしての役割を明確化することですが、リーダーとしてどこまでの権限を与えるのかを明確にし、その権限において、自分で考えて行動できる自由を認める点です。
あまりきっちりと役割を決め過ぎてしまうと自分で考えなくなってしまい、リーダーシップが育ちません。
そのため、大枠だけは明確にし、あとは自らの考えで行動できるように仕向けることが、組織として円滑な業務を行うための環境づくりの実現につながります。
評価制度を見直す
営業組織の体制を整える方法として、評価制度の見直しも欠かせません。
社員は企業側からどのような評価を受けているのかを常に意識します。
また、現在の自分自身の評価が企業側の評価と大きな相違があれば仕事に対するモチベーションに大きく影響するでしょう。
もちろん、全員が納得する評価制度などありません。
しかし、少なくともしっかりと成果を出している社員が正当に評価されないような評価制度であれば早急な改善が必須です。
営業メンバーにヒアリングを行う
評価制度の見直しは経営層や上層部だけの考えで行なっても上手くいく可能性はあまり高くはないでしょう。
なぜなら、社員がどのような評価に不満や不公平感を持っているかが明確にわからないからです。
そこで、評価制度の見直しをする前に、従業員満足度調査やヒアリングの実施をおすすめします。
評価制度だけに限らず、日々の業務で課題と感じている点や改善策も含め、ヒアリングと従業員満足度調査の両方を実施します。
ヒアリングだけでは面と向かって言えない社員もいるため、無記名の満足度調査でリアルな声を聞けば、評価制度の見直しに加え、組織の体制整備にも役に立つでしょう。
営業組織の体制を整えるときのポイント
ここでは、少しでもコストを抑え、効率よく進めていくためのポイントをご紹介します。
計画的に実施する
組織体制の整備を行うといっても、その間にも営業活動を止めるわけにはいきません。
つまり、体制の整備と営業活動は常に同時進行でなければならないのです。
そこで、営業活動は通常通り進めつつ、組織体制の整備はあらかじめスケジュールを立て、計画的に実施していく必要があります。
ポイントは週、月、四半期など期限を切り、その中でやるべき施策のスケジュールを立てていくことです。
例えば、人員配置や評価制度の見直しは1年間に一回、目標設定の確認は毎週もしくは毎月など、それぞれの内容に応じて期間を決めて行なっていくようにしましょう。
ITツールを活用する
体制の整備について、スケジュールを立て計画的に行なっていくとしても、やはり限界があります。
そこで、営業活動についてもできるだけ効率化を実現させ、体制の整備をスムーズに進めていかなくてはなりません。そこでおすすめなのがITツールの活用です。
例えば、「これから訪問する顧客の情報を顧客管理ツールから抜き出し、メールで受信する」「顧客からの苦情をカスタマーセンターで受け、それを営業管理ツールに反映させる」などをすべて手動で行っていては、ITツールを活用する意味がありません。
そこで、複数のツールを連動させ、ルーティンワークの自動化を行うRPAの導入も営業業務の効率化に大きく貢献します。
しかし、ツールを利用するにしても、機能をよく理解した担当者がいなければ、有効活用することができません。ITツールを導入することだけに頼り切りになることには注意しましょう。
営業組織の足場を固めよう
営業組織は、どうしても目に見える数字ばかりが評価対象となってしまい、組織としての力よりも個人の力が重視されてしまいがちです。
しかし、企業は基本的に一人の力でどうにかなるものではありません。組織としての力を集約し、共通のゴールを目指して初めて大きな成果を上げられるのです。
そのため、営業組織としての体制を整備することは、結果として営業組織だけではなく、企業という組織の体制整備にもつながり、継続的に利益を上げ続けられるようにもなります。
営業力が弱く利益が上がらないというような課題を抱えているのであれば、数字を追うよりも前に、まずは営業組織の足場を固めることから始めてみてはいかがでしょう。
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