営業ロープレとは?効果的な教育を行うための3つのポイント
新入社員が営業経験を積むためには、実際の営業活動を経験させるのが一番近道です。
しかし、営業経験のない状態でいきなり現場に出すことのリスクは大きく、些細なミスが原因で顧客を失うことにもなりかねません。
そのため、多くの企業では、実際の営業現場に出す前に「営業ロープレ」を実施しています。
営業ロープレは、新入社員を一人の営業戦力として育成するためには必要不可欠のプロセスで、先輩の営業担当者が壁打ち相手となり、本番を想定したロールプレイングを行うパターンが一般的です。
今回は、営業ロープレとはどのようなことを実施するか、また営業ロープレを企業で導入する際の注意点などもあわせて解説していきます。
目次[非表示]
- 1.営業ロープレとは
- 1.1.営業ロープレとは何か?
- 1.2.営業ロープレの重要性
- 2.営業ロープレを実施するメリット
- 2.1.商談経験を積める
- 2.2.成功体験による自信がつく
- 2.3.商談での課題が見つかる
- 3.営業ロープレ実施時の課題
- 3.1.前回課題が解決されない
- 3.2.回数ばかりで上手くならない
- 3.3.スキルを実践で活用しきれない
- 4.効果的な営業ロープレを行うための3つのポイント
- 4.1.時間設定は短めにする
- 4.2.即フィードバックをする
- 4.3.恥ずかしがらず本気で取り組む
- 4.4.フィードバックを次回に活かす仕組みづくり
- 5.営業ロープレは毎日の積み重ね
営業ロープレとは
まずは、営業ロープレの概要と重要性について解説します。
営業ロープレとは何か?
営業ロープレの「ロープレ」とはロールプレイングの略です。
文字通り、営業の現場を想定し、上司や先輩社員などが顧客役を演じ、新入社員に向けて本番さながらの営業研修を行います。
基本的なパターンとしては、顧客役と営業役に分かれて商談のワンシーンを演じます。
アポイントメントを獲得するためのロープレを実施することもあり、電話での交渉から商談のアポを獲得するまでの段階を再現します。
その際、電話における声のトーンや言葉遣いなどがチェックのポイントとなります。
また、商談がある程度まとまった段階でのクロージングの場面を想定したロープレも頻繁に実施されます。
顧客から出される最終的な疑問や懸念点をヒアリングし、適切な回答を提示します(※通称「切り返し」)。顧客の課題や懸念点を解消し契約に結びつけるまでのプロセスを再現するわけです。
営業ロープレの重要性
新入社員に営業の経験を積ませたくても、実際の顧客相手に練習をするのは顧客にも失礼です。
そこで前もって営業の練習を行い、本番とほぼ変わりない実践力を養えるところに営業ロープレを行う重要性があります。
「実際の営業に先輩社員の補助として新入社員が同行し、先輩の姿を見ながら営業の技術を学ぶ」というのが昔からの手法でした。
しかし、時代のスピード感が早まるとともに、トライ&エラーを繰り返して人材を育成するという手法が、組織として機動力に欠けると捉えられるようになりました。
さらには、先輩や上司のスキルに影響されるため、属人的な育成になることも考えられます。
営業ロープレでは、カリキュラムに基づいた最短距離の人材育成を手掛けていくことで、早期に営業成果の向上が見込める点が注目されています。
営業でなくとも、営業の基礎を学ぶことで、商流や市場動向に対する情報収集力や理解力を養うことができるため、ビジネスマンとしてのスキル向上も期待できます。
人材育成の観点から見て、実践での営業と異なり、ロールプレイングに対するフィードバックを返すことが可能な点も非常に効果的です。
良かった点と改善すべき点をチェックし、新入社員が経験を獲得する、いわゆる「Good&More」のフィードバック手法です。
営業ロープレを実施するメリット
次に、営業ロープレを実施することで得られるメリットを解説します。
商談経験を積める
営業ロープレで商談経験を積むことにより、営業活動の流れを理解した状態で本番の商談に臨めます。
初回商談からクロージングまでの流れを掴み、何度も繰り返すことで、一人で商談を成立させる力をつけることができます。
営業ロープレではさまざまなシチュエーションを想定した営業活動を再現します。そのため、顧客側からのイレギュラーなクレームや予期せぬトラブルの発生も内容に折り込まれています。
どんな場面でも慌てずに柔軟で迅速な対応ができるか、実践的な営業力を養うことが可能です。
このように、何度もロープレで練習を重ね鍛えられた新入社員は即戦力としての活躍が期待できます。
成功体験による自信がつく
ロープレとはいえ、与えられた状況下での交渉によって契約が成立したという判定を得た場合は成功体験を蓄積できます。
特に、新入社員は社会スキルも未熟なうえ、実際の業務において成功体験を得ることが難しく、ロープレでも積極的な成功体験を与え、自信を涵養できるように促すべきでしょう。
ロープレで契約を成立させた場合、契約に至るまでの段取りや交渉技術、クレームへの対処なども含めた営業活動全体の流れも同時に記憶として残るため、実際の営業においても役立つスキルへと熟成されます。
練習とはいえ、成功した経験が商談や営業としての成長に繋がるといえるでしょう。
商談での課題が見つかる
ロープレを経由せずに実践の営業活動に従事させた場合、普遍的な営業理論を理解する過程が抜けてしまいます。
そのため、先輩の方法論の受け売りや自己流の考えによってアプローチする営業スタイルを続けてしまう危険性があります。
特に研修期間を終えて単独で行動するようになると、交渉時のマナーや言葉遣いにおける致命的な問題点を抱えていても、それらが客観的に訂正される機会がなく、結果としてそうした欠点が組織全体の足枷になりかねません。
契約が成立しても、それが確固たる技術や経験によるものか単なる偶然かも判断できませんし、失敗した際の問題を自分なりに分析して改善する慣習が身につかず、それ以降も同じ失敗を続けてしまいます。
実践の営業活動の場に出る前にロープレを行うことは、思い込みや間違った学びが原因で営業の成果率が低い状態の新入社員を早い段階で再度教育し、問題点を解消するという点においても重要です。
仮に天性のセンスでロープレがうまく運んだとしても、営業の進め方として問題になる可能性となる要素があれば、その時点で改善を促して地に足のついた営業スキルを教育することが大切なのです。
営業ロープレ実施時の課題
営業ロープレには数多くのメリットがありますが、実施するためには工数や時間がかかることも事実です。
前回課題が解決されない
営業ロープレも、回数を重ねると状況設定から結果判定までの一連の流れがルーティン化してしまい、ただこなすだけの作業になりがちです。
営業ロープレの意義や目的が形骸化してしまうと、ロープレ中に課題が発見されたとしても入念なフィードバックが行われず、課題を解消しないまま次のプログラムに進んでしまう可能性もあります。
ロープレを行う時間を負担に感じているためにロープレに対する本気度が損なわれる場合は問題です。
ロープレの意味を改めて確認し、新鮮な意気込みで挑戦できるプログラムに改良することも視野に入れたほうがいいでしょう。
営業ロープレは、あくまでも新入社員が成功体験を得ながら営業スキルを習得していくための手段です。
会社への帰属意識を高めるものではありません。そのため、目的を見誤ると意味のない苦痛を伴う作業となってしまうため注意をしておきましょう。
回数ばかりで上手くならない
営業ロープレは回数を多く実施しても効果があるとは限りません。
組織が抱える営業課題や、新入社員の成長の過程を綿密に把握したうえで分析しながら、ポイントを押さえたロープレの内容を整備するのが必要不可欠です。
そのため、営業ロープレ中の向き合い方や姿勢のみならず、事前準備にも注力する必要があります。
実際の営業では顧客の情報を事前に調査し、成約率を高めるための戦略を立ててから臨みます。
事前準備も充分に行なわれた営業ロープレでなければ、実践では通用しにくいといえるでしょう。
また、営業ロープレで発生したフィードバックの内容や新入社員が陥りがちな問題点など、各種データおよびノウハウの蓄積を組織内で共有することも忘れてはいけません。
過去のフィードバックを次回以降の営業ロープレに生かせるような発展性のあるロープレを継続的に行うからこそ、ロープレに参加している社員や組織全体の営業スキルが向上することにつながるのです。
スキルを実践で活用しきれない
必死に営業ロープレをこなしても、実践では活用できなかったという声をよく聞きます。
本番のシチュエーションを想定できていない営業ロープレを実施しても、営業スキルの向上にはつながりません。
先述した、事前準備やロープレ後のフィードバックも含め、「このような計画を立てて営業活動に臨んだ場合、このような結果を招く」という部分のシミュレーションが、実際の営業と比較しても高い精度で一致しているか、という点も徹底的に検討しなくてはなりません。
営業ロープレを過信せず、フィードバックや実際の現場での経験を分析することで、学んだスキルを実践できる能力が身につくでしょう。
効果的な営業ロープレを行うための3つのポイント
営業ロープレで失敗しないためにも、以下の3つのポイントに注目して実施してみましょう。
時間設定は短めにする
効果的な営業ロープレを行うコツは、一回あたりのロープレを短めに行うことです。
長時間のロープレで契約に成功したとしても、実際には長期の時間的猶予が与えられるシチュエーションは多くありません。あくまでも実践の現場に即した設定で実施すべきです。
また、フィードバックも過剰に長い時間をかけず、端的にスリムな形で行うようにしましょう。
あまりにも改善すべき点を一度に羅列してしまうと、ロープレを受ける側の精神的な負担が重くなります。
即フィードバックをする
スリムなフィードバックに加え、フィードバックはロープレの途中や終了直後に行なうことが大切です。
例えば、途中で再現された場面について、後で振り返りを行っても、当時の場面を詳細に思い出すことができず、フィードバックが無駄になることも考えられます。
その都度、その場でフィードバックをすることで、どう改善するべきか、本当に良くなったかどうかを判断しやすくなります。
営業ロープレからフィードバックまでの間隔が開きすぎると、ロープレで見出された課題を適切に改善するモチベーションも下がってしまうため、できる限り早くフィードバックすることが重要です。
恥ずかしがらず本気で取り組む
営業ロープレは組織内の人間同士で役割を演じながら行うという性質があるため、中には恥ずかしさを感じる方もいますが、本番と同様の緊張感をもって堂々と行わなければ効果がありません。
特に新入社員の場合は営業活動に慣れていないということもあり、ロープレを恥ずかしがる傾向が顕著に現れます。
このような場合、先輩社員が率先してロープレの手本を見せ、真剣に取り組む姿を示しましょう。
フィードバックを次回に活かす仕組みづくり
営業ロープレでのフィードバックやアセスメントを行うだけでなく、次回のロープレや営業活動に活かす仕組みをつくることがポイントです。
フィードバックを受け、次回から意識するべきことが分かったとしても、実際に実行できなければ、スキルが身につきません。
また、次々回も同じ課題のまま営業ロープレを迎えることになれば、一向に成長することはできません。
そのため、次回に活かす仕組みづくりをすることで、営業の成長スピードを高めることができます。
営業ロープレは毎日の積み重ね
営業ロープレの重要性やメリット、デメリットや営業ロープレを活用するための考え方について解説しました。
営業ロープレは行う側も受ける側も、双方に時間をかけて行うものです。
無駄な時間にしないためにも、営業の標準化をするために基準を決め、それを基にロープレを行い、即日フィードバックをする。前回のロープレを基に再度同じ基準でロープレを行い、即日フィードバックをする。
こういったことを、いかに質高く積み重ねられるかで即戦力になるか、本人が成長できるか決まってきます。
もし、コスト面や教育人材不足である場合、自社で営業ロープレを行うのが実現が困難である場合は外部委託も有効な手段です。
ぜひ、育成という観点から事業成長を考えてみてください。
インプレックスアンドカンパニー株式会社では、即戦力となる営業マンを育てることができる営業研修を行っております。
各企業が持つ個々の話題に深く入り込んだハンズオン型の営業ロープレを提案し、クライアントのメンバーとして高レベルな営業人材教育を実施します。
ダイレクトなフィードバックを実現し、スピード感あふれる人材育成を実現することで、早い段階で営業成果を向上させている点が強みです。
定量や定性での評価を行い、強みや弱みの両面から、必要な項目を具体的な処方箋としてレポーティング。的確なネクストアクションを提示し、営業成績として可視化できる形で営業スキルの底上げを図ります。
営業ロープレで課題を感じている方、営業研修の外部委託を検討されている方がいらっしゃれば、ぜひお問い合わせください。