営業もリモートワークできる?成功例と営業手法を徹底解説
2020年のコロナ禍により、多くの企業のビジネスのやり方が一変してしまいました。
「三密」を避けることが有効な感染対策となり、企業の仕事の現場でも「リモートワーク」が推進されるようになりました。
ただ、営業活動に関しては、リモートワークは困難であるとの考え方が一般的でした。
しかし今「リモートワークによる営業活動」という手法を採用し、一定以上の成果を挙げる企業が注目されているのです。
本記事では営業職のリモートワークについて、成功例と実際の営業手法を解説します。
目次[非表示]
- 1.営業職のリモートワークは可能?
- 1.1.リモートワークと営業の相性は?
- 1.2.リモートワークの営業の成功例
- 1.2.1.不動産の大手「東急不動産」の事例
- 1.2.2.大手通信業「NTT東海」の事例
- 2.リモート営業の課題点と解決策
- 2.1.リモート営業のメリット
- 2.2.リモート営業のデメリット
- 2.2.1.強固なセキュリティ・システムが必要
- 2.2.2.コミュニケーションに難点
- 2.2.3.セキュリティシステムの強化
- 2.2.4.コミュニケーション・スキルのレベルアップ
- 3.インサイドセールスの方法
- 3.1.インサイドセールスの種類
- 3.2.インサイドセールスのノウハウ
- 3.2.1.運用ルールを決めておく
- 3.2.2.データの活用
- 3.2.3.チームでの活動
- 4.営業がリモートワークする際の必須ツールと活用法
- 4.1.リモート営業に必要なツール
- 4.1.1.連絡ツール「チャットワーク」や「Slack」
- 4.1.2.商談ツール「bellface」や「ZOOM」
- 4.2.リモート営業におけるツール活用法
- 4.2.1.ツールは段階的に運用する
- 4.2.2.営業支援ツールの活用
- 5.リモート営業の心構え
営業職のリモートワークは可能?
「リモートワークで本当に営業は可能なのか?」と疑問に感じる人は多いでしょう。
そこで、リモートワークと営業との親和性について考えてみます。
リモートワークと営業の相性は?
リモートワークの長所をうまく生かせば、営業成果に結びつけることは決して不可能ではありません。リモート営業が特に有効なのは「新規開拓」の分野です。
事前にメールなどで反響があった見込み客にアプローチする際、実際に訪問となる確率はかなり低いのですが、リモートでの対面ならば見込み客側も気楽に会話できるという心理になりやすいのです。
リモートワークの営業の成功例
営業活動の手法にリモートワークを導入し成功させている企業の成功例を紹介しましょう。
不動産の大手「東急不動産」の事例
不動産の大手「東急不動産」では営業重要地域にサテライトオフィスを開設し、営業職は自宅に近いサテライトオフィスでリモート営業をするという営業形態を積極的に進めています。
また在宅勤務も奨励しており、これまでの「社員全員が一カ所で仕事する」方法から転換させることに成功しました。
大手通信業「NTT東海」の事例
東海地方に多くの顧客を持つ企業だけに「NTT東海」での営業の課題は「時間のロスをゼロに近付ける」ことにありました。そこで同社は社員の営業活動にリモートワークを検討。
テストマーケティングで既存企業10社から「全く問題なし」の回答を得て正式に導入されました。
これまでの営業をリモートに変更すれば年間数千時間もの時間削減が実現することとなり、同社ではその結果「年間1万件」の商談目標が達成できると試算しています。
リモート営業の課題点と解決策
リモート営業の課題点とその解決策について解説しましょう。
リモート営業のメリット
リモート営業には、大別して次の3つのメリットがあります。
業務効率の向上
会社と訪問先を往復する時間が節約できることで、その時間を別の営業先との商談に使うことができます。また、今までは商談中に上司や他部署の意見を聞きたくなった場合でも、素早い対応が困難でしたが、オンラインで複数個所からアクセスできるため、上司や先輩による素早いヘルプも可能となり、業務効率の向上につながるのです。
営業経費の削減
営業先への訪問や、宿泊が必要な出張も不要になるため、交通費などの営業経費の削減が実現します。また、今後サテライトオフィスや在宅ワークなどを導入すれば、これまでの広いオフィスさえ不要となり全社的なコストカットが期待できます。
営業社員の確保
リモート営業は在宅でも可能なので、遠隔地の居住者や家族の介護などで毎日の通勤が難しい社員も仕事ができます。つまり、営業社員の人員を確保しやすくなるのです。
リモート営業のデメリット
リモート営業のデメリットとして挙げられるのは次の2点です。
強固なセキュリティ・システムが必要
顧客や取引先との商談がオンラインになるため、今まで以上に強固なセキュリティ・システムの導入が必要です。
コミュニケーションに難点
リモート営業では、パソコン画面を通しての商談となるので、リアルな商談とは異なり、相手の微妙な表情の変化に気付かないケースがあるからです。
以上のリモート営業のデメリットに対する解決策として次の2点が有効です。
セキュリティシステムの強化
セキュリティに関しては、VPNの導入など強固なシステムを構築し、今まで以上に情報漏洩のリスクを回避することです。
そして「オンラインでの業務は常に多大なリスクがある」ことを社員に周知徹底する研修を行うことに加え、その後現場で遵守されているかの検証を行うことが大切です。
コミュニケーション・スキルのレベルアップ
コミュニケーション・スキルのレベルアップのためには、リモート営業に対する顧客へのアンケート調査を定期的に実施することと、その回答をもとに営業担当者同士のディスカッションを繰り返し、リモート営業でのより良いコミュニケーション方法の改善を図ることが重要といえるでしょう。
いずれにせよ、開始して間もない期間は、スタッフで常時ミーティングを行いながら、問題点をあぶり出していくようにしましょう。
インサイドセールスの方法
企業の現場では現在、「リモート営業」は「インサイドセールス」とも呼称されています。
ここではインサイドセールスの種類とノウハウについて解説しましょう。
なお、インサイドセールスとテレアポやフィールドセールスとの違いについて詳しく知りたい方は、次の記事をご参照ください。
インサイドセールスの種類
インサイドセールスには、いくつかの用途があります。
その代表的なものを3種類に区分して紹介します。
顧客フォロー
初めてインサイドセールスを採用する企業は、ひとまず既存顧客へのアフターフォロー用として利用するものと思われます。
万が一の不手際やリスクを回避するため、という理由もありますが、得意先の顧客であれば、オンラインでのやり取りも比較的抵抗感なく受け入れてくれる可能性が高いからです。
今後、リピートユーザーへ向けて新商品の案内などにもインサイドセールスを用いる企業が多くなると想定されます
新規開拓
企業が新規顧客を獲得するためにインサイドセールスを活用します。
営業の進め方は多様ですが、一般的にはメール広告などで集客した見込み客に「商品説明」という形でインサイドでのアポイントを取り、その後の成約に繋げるという方法です。
商談・成約
通常、対面にて行われる商談から成約までの営業の最終段階の重要事項をオンラインで実行する方法です。
「アポイントまではインサイドで正式な商談は従来通り訪問で」という企業がまだ多いようですが、インサイドセールスが活性化するにつれて、今後は商談から成約まで一気にインサイドで完結させる企業が増えてくることでしょう。
インサイドセールスのノウハウ
インサイドセールスでは「これだけは押さえておきたい」という次の3点の必須ノウハウがあります。
運用ルールを決めておく
営業においては「見込み客作り」「アプローチ」「商談」「クロージング」など一連の流れがあります。インサイドセールスを全行程で実施するのか、ある過程でのみ活用するのかは業種や商品によっても異なります。
会社の方針として運用方法を事前に決定しておくと、担当者も取り組みやすいでしょう。
データの活用
せっかくリモートワークツールを利用するのですから、インパクトのある資料を活用しましょう。
訪問営業でも画像や動画などは使用可能ですが、インサイドセールスでは相手がPC画面に集中しているので、より大きな効果が期待できます。
チームでの活動
移動時間が短縮できるインサイドセールスの利点を生かし、最低2人組でチームを組んで活動しましょう。
互いに意見を交換して次回に生かせることと、転属や退職などで万一欠員が出た場合でも業務の停滞を防止できます。
なお、インサイドセールスの立ち上げや体制構築については、次の記事もぜひ参考にしてください。
営業がリモートワークする際の必須ツールと活用法
本格的に営業部門でリモートワークを活用するのであれば、やはりそれなりのツールは必要不可欠です。そこで、リモート営業に最低限必要なツールとその活用法を紹介します。
リモート営業に必要なツール
まずは、リモート営業に必要な代表的なツールを紹介します。
最低限まずは連絡手段と、商談ツールを検討してみてください。
連絡ツール「チャットワーク」や「Slack」
「チャットワーク」は、ビジネスチャットツールとして国内シェア1位のツールです。
多くの企業で社内連絡用として利用されているだけに、顧客側もすぐに対応可能で抵抗なくスタートできるツールといえます。
「Slack」は、外部ツールとの連携が豊富なので、チャットに留まらず、様々連携することで使いやすくカスタマイズすることが可能です。
チーム別やプロジェクト別など、チャンネル毎にやりとりを行えるため、効率よくコミュニケーションをとることが可能なツールといえます。
商談ツール「bellface」や「ZOOM」
電話営業の延長として手軽に利用できるWeb商談ツールとして活用されている「bellface(ベルフェイス)」は、商談ツールとしてもおすすめできます。音声は電話で、使用資料の制限などが出来るため、セキュリティ面でも安心して使えるのがメリットです。
商談相手も、アプリケーションのダウンロード不要で使用できるため、リテラシーを気にせず活用ができます。
双方に記入ができる商談メモ機能や録画など便利な機能も多いので、オンライン営業には適しているツールといえるでしょう。
手軽に利用できるWeb会議ツールとして社内会議に活用されている「Zoom(ズーム)」は、社内会議ツールとしておすすめできます。1対1の利用は無料なので相手先企業も導入しやすいのがメリットです。
また、複数の同時参加者が同じ画面を共有できるので、プレゼンにも適しています。録画機能を使うことで議事録の必要もなくなるかもしれません。
リモート営業におけるツール活用法
リモート営業で用いるツール活用の重点ポイントを2点紹介します。
ツールは段階的に運用する
予期せぬトラブルの発生を防ぐため、初めて導入する際には段階的運用が好ましいです。
「運用テスト」→「既存客でのスタート」→「課題点のチェック」→「改善」→「本格運用」といったように、PDCAサイクルを回しながら段階的に取り入れていきます。
本格運用がスタートしたあとも、定期的にチェックと改善を繰り返し、徐々に利用を拡大していくことが望ましいでしょう。
営業支援ツールの活用
リモート営業は、訪問営業よりも多くの顧客にアプローチが可能です。
多くの見込み客を管理するには営業支援ツール(SFA)の導入が望ましいでしょう。
このツールを利用することで、顧客情報データの一元化が可能となり、営業担当者の活動内容や進捗状況もメンバー全員が共有できます。
なお、オンラインでの商談時に利用できるツールなど「セールステック・ツール」については以下の記事にまとめておりますので、ご参考ください。
リモート営業の心構え
リモート営業といっても、営業の中身は通常の訪問営業と大きな違いはありません。
しかし、商談相手の顔を直接見ながらの会話ではないだけに、相手の表情の細かい変化に気付けない場合もあります。
会話が一方的にならないように、適当に間を取りながら相手の反応に注意して会話しましょう。
また、オンラインの会話だけに、相手が聞きやすくハッキリとしたメリハリのある口調を心がけることです。
さらに、グラフや画像を用いた資料や時には動画なども事前に用意してプレゼンするなど商談が単調にならないように心がけるとよいでしょう。
加えて、常にリモート営業に役立つツールなどの情報を入手すべく、アンテナを張り情報収集を怠らないようにすることが必要です。